コピーライターの左ポケット

左のポケットからは
思いがけないものがでてきます
役に立たないけれど捨てられない
自分にだけたいせつなものです

「コピーライターの左ポケット」は
RADIO BERRY-76.4☆FM栃木の
日曜日22時からの番組「柴草玲のイヌラジ」の
小さなコーナーでした
コピーライターがストーリーを書き
柴草玲さんが音楽をつけながら朗読をしてくださり
5年の長きにわたって続けることができました
番組の最終回は2015年3月29日でした
お聴きくださった皆さま、このサイトを訪問してくださった皆さま
ありがとうございました

なお、原稿と音声のみをご覧になりたいかたは
裏ポケットへどうぞ ↓
http://02pk.seesaa.net/



2014年02月03日

古くなった。

最近、自分が古くなったと思う。
去年からぼくは自分の生まれ年の小銭を集めている。
正確に言うと、昭和50年製の100円玉、50円玉だ。
たった一年だけど、貯金箱はけっこう重くなった。
目隠しされたハルク・ホーガンにその貯金箱を持たせたら、
砲丸と間違えて投げてしまうかもしれない。
今の文章には二カ所間違いある。
一つは、ハルク・ホーガンは、名前のせいで勘違いされやすいのかもしれないが、
プロレスラーであって、砲丸投げの選手ではない。
そして二つ目は、いくら目を塞がれたからと言って、
誰も貯金箱を砲丸とは間違えないということだ。
それはどうでもいいんだけど、
自分の生まれ年の100円玉と50円玉を見つける度に
うれしくなる反面、なんて汚いんだろうと思ってしまう。
昭和50年製の小銭と平成製の小銭は、手にした瞬間区別がつく。
輝きが全然違うのだ。
50年製のほうは、100円玉にしろ50円玉にしろ、
刻まれた模様のすみずみまで黒ずんでおり全体的にくすんでいる。
30年以上、人の手から手を渡り歩いてきたんだから仕方ないけど、
その薄汚れた感じが、そのままぼくの古さみたいでちょっと物悲しくなる。
それに比べて平成生まれの100円玉と50円玉の美しさといったら。
キラキラしている。まだまだできたてだ。
夢を尋ねたら、1万円札になることです!と目を輝かせて言い出しそうである。
昭和製の小銭に同じように夢を尋ねたらなんと言うだろう。
想像もつかない。
夢? なんですかそれ? 新しい日本酒の名前ですか?
なんてことを酒臭い息を吐きながら言ったりするのだろうか。

クララ。という名前の後輩がいる。もちろん女性だ。
その子が新入社員のときに自己紹介をされたときは驚いた。
だって純日本人の顔なんですもの。
ハーフでもなんでもないんですもの。
それが、ぼくにとってのはじめてのキラキラネーム体験だった。
そのクララももう7年目くらいになったのだろうか。
新入社員の名前もずいぶん様変わりしたことだろう。
キラキラしてないほうが珍しいくらいかもしれない。
いや、まだ、そこまでないか。
でも、あと数年もしたら、新入社員のほとんどの名前は
キラキラしているに違いない。
そんなキラキラネームと自分の名前を比べたときも、
ぼくは自分の古さを感じる。
初対面の人に口頭で自分の名前を説明するとき、
「皇太子の浩宮さまの浩に、昭和の和です」と言うとき、
ぼくの頭のなかにはいつも零戦が飛ぶし、
キノコ雲が浮かぶし、三億事件の犯人のあの写真が浮かぶ。
戦争も三億円事件もリアルタイムでは知らない世代だが、
自分の名前にしみついた昭和はそれらを呼び起こす。
ぼくって新しいものと比べたら古いんだなあ。

中山さんの猫の名前も胡留(うる)と言うらしい。
キラキラしている。
まだ胡留に会ったことはないが、
会ったらその輝きにぼくの後ろには濃い影ができるに違いない。
会う機会があったら、日焼け止めを塗っていこうと思う。
古くなった肌に強烈な光はシミの原因になる。
こんな話しをすると、中山さんは
「あんたなんかまだまだ新しいわい!」と言って怒るかもしれない。
「わたしが生まれた頃の小銭なんて和同開珎だったわい!」
なんて言って。(う)


posted by ポケット社 at 16:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ポケット社通信 | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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