コピーライターの左ポケット

左のポケットからは
思いがけないものがでてきます
役に立たないけれど捨てられない
自分にだけたいせつなものです

「コピーライターの左ポケット」は
RADIO BERRY-76.4☆FM栃木の
日曜日22時からの番組「柴草玲のイヌラジ」の
小さなコーナーでした
コピーライターがストーリーを書き
柴草玲さんが音楽をつけながら朗読をしてくださり
5年の長きにわたって続けることができました
番組の最終回は2015年3月29日でした
お聴きくださった皆さま、このサイトを訪問してくださった皆さま
ありがとうございました

なお、原稿と音声のみをご覧になりたいかたは
裏ポケットへどうぞ ↓
http://02pk.seesaa.net/



2012年09月19日

妹が来ていた。

もう1ヶ月も前のことになるけど、
夏のお盆休みを利用して妹が上京してきた。
待ち合わせ場所の新橋駅に5分ほど遅れて到着した妹は、
耳が隠れる程度の長さの髪にゆるやかなパーマをかけ、
花柄のブラウスの上に
暑いにもかかわらずカーディガンを羽織り、
白いパンツをはいていた。
東京を意識した格好だということが丸わかりだったが、
それなのに足下はというと、くまもんのスニーカー。
コンバースの白いハイカットに、
でかでかとくまもんがプリントされているその靴は、
東京からはだいぶかけ離れている。
会ってすぐにその靴のことを自慢気に語る妹に、
「おまえ恥ずかしくなかとや?」と聞くと、
「熊本ではくのは恥ずかしかばってん
東京ならいっちょんそがんことなか」とのこと。
子供たちの間で爆発的に流行っている地元熊本で、
30すぎの女がくまもんを身につけるのは気恥ずかしいけど、
認知度が低い東京なら平気なようだ。
「いや、ばってん、くまもんはやめたがよかど」
と言おうと思ってやめたのは、
ぼく自身がその日、尻にうさぎがプリントされたジーパンをはき、
無数のうさぎがデザインされたバッグを持っていたからなのだが、
そんな兄を置いといて妹は、
「お兄ちゃん、相変わらずうさぎ好きねえ。年齢ば考えなっせ」
と自分のことをあっさり棚にあげるあたりたいしたものだと思った。
そしてその直後、金井くんから受けた
「そろそろキャラものやめたほうがいいよ」
という忠告を思い出して、
妹の分までまとめて恥ずかしくなった。

妹は、金曜から二泊の予定だった。
翌日の土曜日、ぼくは甲子園に行く用事があったので
かまってやれなかったが、
友だちの案内でスカイツリーや上野の美術館に行ったそうだ。
そのかわり日曜日は銀ブラにつき合った。
デパートを何軒もはしごしてなにやら大量に買い込んでいた。
なんば買ったんや?と尋ねると、
どれもこれも友だちの出産祝いや誕生日祝いばかりで、
自分のものはひとつもない。
これじゃ東京にわざわざお土産を買いにきたようなものなのに、
妹はそれで満足しているようだった。
そのあたりに自分の妹ながら感心して、
ワンピースを買ってあげたら喜んでいた。
あんまり似合ってなかったけど「似合う似合う」と言ってやった。
そしたら「だろ?わたしも似合うと思ったったい」と言っていた。

「中山さんていう人に会いたかったあ」
帰りのモノレールの中で妹はそう言った。
妹は、どうやら「もるとゆらじお」のことを知っているようで、
そのなかに自分の兄が「う〜ちゃん」として
たまに登場していることも知っているようだった。
「お兄ちゃんのこと書いて誰が喜ばすと?」
うーん。たしかにそう言われると…。
「兄がお世話になってますって、ちゃんと挨拶しときたかった」
ぼくもタイミングさえ合えば、
妹を中山さんに紹介したいとは思ってはいたのだが、
今回はちょっと難しかった。
「中山さんてどがん人?」
えーと。オノ・ヨーコがサングラスとったみたいな人。
「オノ・ヨーコて誰?」
うーん。オノ・ヨーコを知らない人に、
中山さんのことをイメージさせるのは難しい。
「じゃあ今度東京来るときはサングラスばお土産に買ってくるけん」
うーん。それはちょっと違う。(う)
posted by ポケット社 at 16:28 | Comment(1) | TrackBack(0) | ポケット社通信 | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私も妹に会いたかった。
しかし早起きして甲子園に行く前日に飲むのは
あまりに危険だよね。
Posted by なかやま at 2012年09月20日 17:29
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