コピーライターの左ポケット

左のポケットからは
思いがけないものがでてきます
役に立たないけれど捨てられない
自分にだけたいせつなものです

「コピーライターの左ポケット」は
RADIO BERRY-76.4☆FM栃木の
日曜日22時からの番組「柴草玲のイヌラジ」の
小さなコーナーでした
コピーライターがストーリーを書き
柴草玲さんが音楽をつけながら朗読をしてくださり
5年の長きにわたって続けることができました
番組の最終回は2015年3月29日でした
お聴きくださった皆さま、このサイトを訪問してくださった皆さま
ありがとうございました

なお、原稿と音声のみをご覧になりたいかたは
裏ポケットへどうぞ ↓
http://02pk.seesaa.net/



2012年08月26日

甲子園4

夏の甲子園のアルプススタンドという場所は
たいがな暑かところです。屋根がにゃーけんが、
じりじりという音がほんとに聞こえてきそうなくらいの
強烈な日差しの下におらんといかん。
母校済々黌と大阪桐蔭との試合は、
先週の土曜日朝10時半からはじまったばってんが、
その時間帯にも関わらず、
ビール売りのお姉さんたちはだいがな忙しそうでした。
そぎゃん暑かったにも関わらず、
済々黌側の一塁アルプススタンドは、
一回戦のときよりも観客が多かったように思います。
この試合で負けるけんが、
最後の応援ばしてやらんといかんとみんな思ったとでしょうね。
ばってん、おれたちが応援したら勝つかもしれん、
とか考えたとじゃなかでしょか。
なんさま相手は大阪桐蔭ですけんね。
150キロ台を当たり前のように投げてくる藤浪投手率いる、
春の甲子園優勝校ですけんね。
全国から集まってきたOBとOGたちで一塁のアルプスはいっぱいでした。

そん中には、ぼくの同級生たちもけっこうおってから、
ぼくはえらい驚きました。華の女子高生だった女の子たちが、
18年ぶりに会ったら、熟女になっとらしたことに。
わいたあ。熟女ばい。
しかも、高校生のときから巨乳で有名だった子が、
Tシャツ姿でおらしたとですよ。
当時から男子たちの噂の的だったあの膨らみは、
多少その位置が下がったようにも見受けられたばってんが
今でも健在で、なんかお互い年もとったし、
高校生のときには思春期のプレッシャーから無理だったけど、
いまなら「胸触らせて」くらいなら言えるとじゃないかなあとか思いよったら、
試合開始前にも関わらず、
ぼくの心のなかの球審が右手を高らかにあげて「プレイボール!」。
ぼくは心のなかのマウンド上でセットポジションの体勢から、
あとは「胸触らせて」とど真ん中のストレートば投げ込めばよかとばってんが、
それが、それだけのことがなかなかできんでおったら、
その熟女になった同級生、略して熟級生は、別の席に移動さしてから、
結局それっきりで、心のなかの球審がやたら偉そうに「ゲームセット」ば
告げらしたとです。遠目にも球審がマスク越しに「なんやこいつ度胸にゃーねー」て
顔ばしとるのが分かったばってん、
ふつう甲子園のアルプススタンドで「胸触らせて」なんか言えんですよねえ。

そぎゃんこつば考えよったせいかもしれんけど、
試合が終わったときには、母校は負けとりました。
ばってんが、よか夏でした。
久しぶりに会う友だちと一緒に、
手が痛くなるまでメガホン叩きながら声張り上げよったら、
TCCストリートライブ5のチケット代ば
いまだに振り込んどらんけどどがんしよう、
なんていう気がかりも甲子園の浜風に紛れて消えたし。
相手のエラーであげた得点だったばってんが、
それでもその相手が大阪桐蔭だと思うと、飛び上がって喜べたし。
応援団に合わせてみんなで十何年ぶりの校歌ば大声で歌ううちに、
ぼくは何度も音程ば外しよったけど、
そのうち自然と勇気がわいてきてから、
もうライブ代はこのまま踏み倒してみせる!
と白球に誓うことだってできたしですね。
ほんなこてよか夏でした。

試合終了後、球場近くの居酒屋で、
牛島くんていう今福岡で働くもうすっかり毛の薄くなった
友だちと二人でビールば飲みながらひとしきり盛り上がったてから、
そのあと、新神戸駅に向かう牛島くんと、新大阪駅に向かうぼくは、
甲子園駅で別れることになったとですばってん、
そんときに、別のホームにつづく階段に消えていく牛島くんの背中を
見送りながらも、なんでか知らんばってんが、ああ、よか夏だった、と思えたとです。
日焼けした腕には、
腕時計の跡が白く残っとってからみっともなかけど、
今年の日焼けは、幸せだった夏の印として
しばらく冷めんならよかとになと思います。(う)


posted by ポケット社 at 12:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | ポケット社通信 | 編集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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