左のポケットからは
思いがけないものがでてきます
役に立たないけれど捨てられない
自分にだけたいせつなものです
「コピーライターの左ポケット」は
RADIO BERRY-76.4☆FM栃木の
日曜日22時からの番組「柴草玲のイヌラジ」の
小さなコーナーでした
コピーライターがストーリーを書き
柴草玲さんが音楽をつけながら朗読をしてくださり
5年の長きにわたって続けることができました
番組の最終回は2015年3月29日でした
お聴きくださった皆さま、このサイトを訪問してくださった皆さま
ありがとうございました
なお、原稿と音声のみをご覧になりたいかたは
裏ポケットへどうぞ ↓
http://02pk.seesaa.net/
▼
コピーライターの左ポケット
▲
2015年03月29日
うぬっ、最後に笑わせてくれたか新生姜
ええ、イヌラジが終わってしまいました。
その終わった直後にですよ、
2015年3月29日23時過ぎにですよ、
柴草玲さんが歌う♩イワシタの新ショウガ〜って
歌がありますよね、
私あのふにゃふにゃっとした声もメロも好きなんですよね、
それでですね、youtubeにアップされているのを
ここに貼付けておこうかしらって思ってさがしに行ったんですよ。
で、検索をかけたら、
新ショウガの歌よりも先にヒットしたのが上のムービーです。
うわあああ〜〜っ、なんじゃ、これ。
やってくれます、岩下食品の皆さん。
プリウス音頭を踊っています。
本当のところはプリウス音頭ではなく
正式曲名は「恋するフォーチュンクッキー」ですけど、
でもあのCMでおなじみですもんね。
私なんかあの会社のHPまで行って地方バージョンのダンスも
ぜんぶ見ちゃいましたもん。
どこの県の子がかわいいとかですね、
いろいろ娯楽があるんですよ。
あ、よろしければ下のURLからどうぞ。
http://www.toyotown.jp/koipuri/?adid=ag164_from.toyotown_top_koipuri_pc&padid=ag164_from.toyotown_top_koipuri_pc
えっと、それで何を話していたんでしたっけ。
そうそう、プリウス音頭です。
岩下食品の皆さんが新生姜の被り物で踊っているムービーに
大爆笑してしまいまして、
最終回の感傷が吹き飛んでしまいました。
岩下食品の岩下社長は、番組終了と柴草玲さんの今後に関して
誰よりも前向きなご意見を披露なさっていたので
あの社員が踊るプリウス音頭は
岩下社長が仕込んだ時限爆弾かもしれないですね。
しかし何というタイミングで出てくるんだ、プリウス音頭...
というか、新生姜の着ぐるみ社員集団!
そして、でもやっぱり「♩イワシタの新ショウガ〜」は聴きたいので
youtubeを下に貼っておきます。
これ、番組で歌った即興だそうですね。
いい歌です、名曲です(なかやま)
上田浩和 2015年3月29日放送

そのベレー帽のなかは
上田浩和
そのベレー帽のなかは、どうなっているのですか?
柴草さんはよくそんな質問をされるそうです。
自分のトレードマークになっている緑色のベレー帽を、
柴草さんは、これまで一度だって人前で脱いだことがないし、
その理由を語ったこともありません。
だから、みんなが気にするのも当然です。
しかし、このイヌラジも、今日が最終回。
最後の最後に、柴草さんのベレー帽のなかの秘密を
教えてさしあげようと思います。
でも、今から言うことは誰にも言ってはいけませんよ。
特に警察関係者の方にはね。
実は、あのなかには、ある人がかくまわれているのです。
「かくまう」という言い方をしたからには、なんらかの犯人です。
そう。勘のいい方はもうお気づきかもしれませんが、
あの三億円事件の犯人です。
柴草さんは、ベレー帽のなかに、
戦後最大の謎とされる三億円事件の犯人をかくまっているのです。
犯人は、いつも柴草さんの髪の上に寝転んで、
柴草さんから差し入れられる三度の食事のとき以外は、
日がな一日空を見上げてすごします。
空と言っても、犯人にはベレー帽の内側の暗闇しか見えませんから、
柴草さんはベレー帽に穴を開けました。
誰もが虫食いだと思うその穴は犯人のための明かり取りなのです。
星空の下にいるように感じられるように、
穴の配置と数には気を配ったそうです。
その明かりを利用して、読書をして欲しいと思い、
定期的に本を差し入れするそうですが、
返却されてくるものには必ず読んだ形跡があるので、
柴草さんは、いつもほっと胸をなで下ろすと言います。
肝心の盗んだ三億円は、百枚ずつ丸めて、
柴草さんの頭皮中の毛穴のなかに詰め込んで隠してあります。
その詰め方といったらこの上なく厳重で、
テレビで派手に宣伝している
毛穴の汚れをごっそり落とすシャンプーを試してみても、
ぜんぜん取れることがないそうです。
すごいですね。
いったい犯人はどういう詰め方をしているのでしょうね。
そもそも、なぜ柴草さんが
三億円事件の犯人の世話をすることになったのか。
しかも、ベレー帽のなかに。そしてそれが誰なのか。
そのあたりのことはまだ僕も聞けていません。
つまり、柴草さんのベレー帽のなかには、
戦後最大の謎が隠されているというわけなのです。
ですから、みなさん。この先、街で柴草さんを見かけても、
「そのなかはどうなっているのですか?」なんて
気軽に聞いてはいけませんよ。
出演者情報:柴草玲 http://shibakusa.kokage.cc/
タグ:上田浩和
イヌラジが最終回。
今夜、イヌラジが最終回を迎える。
イヌラジとは、栃木のラジオベリーで柴草玲さんがやっている番組で、
もう13年もつづいていたのだけど、そういうことになったらしい。
柴草さんが決断したのだそうです。
13年ですよ、13年。
栃木のみなさんの耳にはなくてはならない番組に
なっていたのではないかと思い、
「イヌラジ 寂しい」でリアルタイム検索すると、
残念がるコメントがずらりと並びます。
あまロス、タモロスにつづいて、最近ではマッサンロスも心配されていますが、
明日からの栃木では、イヌロスも心配したほうがよさそうです。
なんでやめちゃうんだろう、柴草さん。
今度会ったときに聞いてみよう。
「13年もあったら、産まれたばかりの赤ちゃんが、
中一になってエロ本読み出す頃ですよ。
わたしもそれと一緒で、エロ本を猛烈に読みたくなったわけですよ」
なんて言うかもしれない。あの人なら言いかねない。
そういうことなら、なんでもっと早く言ってくれなかったんだろうと思うけど、
きっとそういうことではないのだろうな。
イヌラジが終わるということは、
そのなかのワンコーナーであった
「コピーライターの左ポケット」も終わるということです。
今月の小松会長と細川社員の原稿が、
別れを感じさせる内容になっているのはそのためです。
さみしいですね。
毎月毎月原稿書いて、ぜんぜんネタが思い浮かばない月でも、
容赦なく締め切りはやってきて、スタートした当初は守っていた締め切りも、
しばらくすると破るためにあるような気がしてきて、
細川社員なんて2週間くらい遅れることもあって、
そうこうしているうちに、中山さんから毎月のように
怒気をたっぷり含んだ催促メールが送られてくるようになって、
ひいひい言いながら書いてたんですけど、
そんなこんなも、今月でもって終わりだと思うと、さみしいものです。
締め切りに追われる生活ってかっこよかったな。
中山さんからの催促メールも、
はいはいってな感じでようやく受け流せるようになってたのにな。
なによりも、僕のどうでもいいような原稿に対して、
柴草さんがどんな感じの朗読と曲をつけてくれるのか、
楽しみで仕方なかったのにな。
本日、22時の5分くらい前になったら、
栃木にお住まいの方は、
ラジオの前にお集りのうえ柴草さんの声に耳を傾けましょう。
それ以外の場所にお住まいの方もradikoで聞けるはずです。
柴草さんは何を話すんでしょうね。
泣くかなあ。柴草さん、泣くかなあ。(う)
イヌラジとは、栃木のラジオベリーで柴草玲さんがやっている番組で、
もう13年もつづいていたのだけど、そういうことになったらしい。
柴草さんが決断したのだそうです。
13年ですよ、13年。
栃木のみなさんの耳にはなくてはならない番組に
なっていたのではないかと思い、
「イヌラジ 寂しい」でリアルタイム検索すると、
残念がるコメントがずらりと並びます。
あまロス、タモロスにつづいて、最近ではマッサンロスも心配されていますが、
明日からの栃木では、イヌロスも心配したほうがよさそうです。
なんでやめちゃうんだろう、柴草さん。
今度会ったときに聞いてみよう。
「13年もあったら、産まれたばかりの赤ちゃんが、
中一になってエロ本読み出す頃ですよ。
わたしもそれと一緒で、エロ本を猛烈に読みたくなったわけですよ」
なんて言うかもしれない。あの人なら言いかねない。
そういうことなら、なんでもっと早く言ってくれなかったんだろうと思うけど、
きっとそういうことではないのだろうな。
イヌラジが終わるということは、
そのなかのワンコーナーであった
「コピーライターの左ポケット」も終わるということです。
今月の小松会長と細川社員の原稿が、
別れを感じさせる内容になっているのはそのためです。
さみしいですね。
毎月毎月原稿書いて、ぜんぜんネタが思い浮かばない月でも、
容赦なく締め切りはやってきて、スタートした当初は守っていた締め切りも、
しばらくすると破るためにあるような気がしてきて、
細川社員なんて2週間くらい遅れることもあって、
そうこうしているうちに、中山さんから毎月のように
怒気をたっぷり含んだ催促メールが送られてくるようになって、
ひいひい言いながら書いてたんですけど、
そんなこんなも、今月でもって終わりだと思うと、さみしいものです。
締め切りに追われる生活ってかっこよかったな。
中山さんからの催促メールも、
はいはいってな感じでようやく受け流せるようになってたのにな。
なによりも、僕のどうでもいいような原稿に対して、
柴草さんがどんな感じの朗読と曲をつけてくれるのか、
楽しみで仕方なかったのにな。
本日、22時の5分くらい前になったら、
栃木にお住まいの方は、
ラジオの前にお集りのうえ柴草さんの声に耳を傾けましょう。
それ以外の場所にお住まいの方もradikoで聞けるはずです。
柴草さんは何を話すんでしょうね。
泣くかなあ。柴草さん、泣くかなあ。(う)
タグ:イヌラジ最終回
桜が咲いてポケットが終わる

桜が咲いて、ポケットが終わります。
いや、正しくは「イヌラジ」が終わります。
「コピーライターの左ポケット」を書いていた
ポケット社の社員は、
会長の小松洋支巨匠をのぞいて
原稿が遅れ気味だったので、
終わったら書かなくて澄むから
さぞせいせいしているだろうと思ったのですが、
意外や意外、社長も細川社員も「寂しい」と言い続けています。
寂しいと人は集まる習性があるものですから、
そのうち飲み会の写真などを
こちらに掲載するかもしれません。
がっ、その前に明日の最終回があります。
みなさん、最後の「イヌラジ」と
「コピーライターの左ポケット」を聴いてくださいね(さ)
2015年03月22日
細川美和子 2015年3月22日放送

冬のポケット
細川美和子
もう長い間ずっと着ているコートの
ポケットがふたつとも空いてしまった。
空いてしまった、と言っても、
そのことに気づいたのは、もう5年も前のこと。
わたしはめんどくさくて、
ずっとそのままにしていた。
大事なものはカバンに入れればいいし、
ポケットは手をつっこむためにあればいい。
そんな風に間に合わせてきたけど、
やっぱり、穴の空いたポケットは心もとなくて。
のれんに腕おし。
とはちょっと違うけど、
ポケットに手を入れるたびに
すーすーどっかに風が通るようで。
そろそろ縫わなきゃなあ、
と思うようになっていた。
そんな矢先。
地球の温暖化があれよあれよと進み、
もうコートが必要なくなってしまった。
わたしのコートも、コートのポケットも、
もう生活から必要なくなってしまったのだ。
まったく着なくなってようやく、
わたしはコートのポケットを縫った。
ありがとう、とコートが言った。
うそです。
遅いよ、とコートは言った。
それもうそです。
コートはもちろんなにも、言わなかった。
寒い冬が、恋しかった。
出演者情報:柴草玲 http://shibakusa.kokage.cc/
タグ:細川美和子
2015年03月20日
上田こやまくん誕生

その日は夕方からラジオCMの収録がありました。
制作本数は10本ですが、なかなかヘビーな内容でした。
まず出演者が13人か14人いて、
お得意さんが6人お見えになって、
スタッフは録音の森田とアシスタント、それに私の3人。
時間と人数が確定して真っ先に考えたのが弁当の数でした。
単純に計算すれば23個。
でも、役者にはマネージャーがついてくることもありますし、
子役には保護者が確実についてきます。
放送期間があまりに短いために出演料も少し安くしてもらっているので
せめてお弁当は全員に配りたい。
通常は足りなくなれば私をはじめとするスタッフが
食べずに済ませるのですが、
今回は本気で足りなくなったらそんなもんでは追いつきません。
えいっとばかり30個注文しました。
数が多いので出前ではなく、折り詰め弁当です。
甘辛い江戸の味、日本橋の弁松の二段弁当30個。
あらかじめお金を払っておいて、弁当の受け取りはスタジオの人に頼み、
もうそれだけで大騒ぎでした。
スタジオは狭くて大人数を全員収容できませんから
まあ、広いスタジオでも今回の人数は無理ですけれども、
ロビーのテーブルはすべて私のネームプレートが置かれ
貸し切りになりました。
コンビニのお茶を買うのも二往復です。
お茶や水って値段のわりに重いですよね。
そうなんですよ、CM制作の純粋な部分は腕力も脚力も必要ないですが
それに付随する部分はですね、腕力と脚力が必要です。
10人分くらいの弁当ならデパートの地下で買って持ち込みますし、
10リットルくらいの飲料を提げて歩くのも毎度のことです。
だいたい赤坂5丁目あたりを両手に大量の飲食物を提げて
よたよた歩いているのは私ですよ、ええ。
腕が抜けそうになってます。
自動ドアじゃない扉は肩で押して開けますし
エレベーターのボタンは肘で押します。
足でも押せますよ、誰も見ていなければですけどね。
さて、そんな騒ぎのときにです、
ポケット社長からメールが届きました。
「生まれましたよ」って。
発信の時間は午前中なのに、
なぜか届いたのは夕方というか夜でした。
その大騒ぎの仕事の最中です。
わおわおわお、ポケット社長に長男誕生だ....と
踊りだすわけにもいかず、
終電も過ぎてタクシーで帰宅してからやっと返事を書きました。
社長の長男は先週の段階で名前が決まっていませんでした。
私はだいぶ前にひとつ提案をしておきました。
「こやま」という名前です。
社長が上田浩和、嫁が小山佳奈です。
この嫁は素晴らしくいい嫁なので、なんとか逃げられないようにしたい。
そこで息子の名前を「こやま」にしておくと
万一のとき、「小山こやま」になってしまいますよね。
この状況を避けるためには、
小山は上田姓を名乗りつづけるしかないわけで、
そうそう逃げたりはしないだろうと思ったのです。
2015年3月16日、上田こやまくんは誕生しました。
ポケット社長からは、まだ名前を知らせてきません。
それをいいことに「上田こやまくん誕生」ということにしておきます。
ちなみに、上の写真はイメージです。
上田こやまくん本人ではありません(さ)
2015年03月15日
小松洋支 2015年3月15日放送

さよなら
小松洋支
どうしてなのかな。
わたしの前で「さよなら」を言う人たちがいる。
わたしに言うんじゃなくてね。
わたしのそばまで来て、しばらく黙ってて、
それから「さよなら」って言うの。
たいてい夜で。
月が出てたりして。
もちろん わたしにはなにもできない。
なるべく静かにして、
ただ そっと見てる。
もう長いこと そんなこんなを見てきたので、
人生の半分は「さよなら」で できてるんだな、って分かる。
仕方ないよね。
だから我慢しないで、思う存分
泣いたり、怒ったり、叫んだりすればいい。
そうしたら、あしたまた
あたらしい「こんにちは」に会えるかも知れないじゃない。
だって人生のもう半分は
「こんにちは」で できてるんだから。
きょうは、朝からよく晴れてた。
わたしは元気よくお日さまに「こんにちは」を言った。
肌をなでていく風が気持ちよかった。
お昼すぎに ふたりがあらわれた。
ずっとわたしのそばから離れなかった。
夕日が沈む少し前に、
ひとりが「さよなら」を言った。
わたしに言った。
わたしはちょっとびっくりした。
わたしに「さよなら」を言う人なんて
これまで会ったことなかったから。
4歳くらいの女の子だった。
お母さんといっしょだった。
手にジャムの空き瓶を持ってた。
瓶に入ってたのは、
貝殻。小石。コイン。スーパーボール。
角が丸くなった色ガラスのかけら。
そして、
女の子のある晴れた日の午後の時間。
「バイバーイ」
大きな声で女の子は言った。
「海、バイバーイ。
また来るからねー」
「さよならー。
ありがとう。
また来てねー。
待ってるからねー」
わたしは答えた。
女の子には、ただ波の音が聞こえただけだったかも知れないけど、
そのときの波の音は、
いつもよりも大きく、夕焼け空にこだましたと思うんだ。
出演者情報:柴草玲 http://shibakusa.kokage.cc/
タグ:小松洋支
2015年03月14日
湯ノ湖の芽吹き(栃木の春1)

奥日光の湯ノ湖は温泉が湧いているので
他と較べて暖かいのでしょうか、
春のきざしが見える写真を見つけました。↑
日光の冬は長いので
こんな写真を見るとうれしくなりますね。
下は湯川です。
こちらは雪も多く、まだまだ冬景色ですね。

タグ:栃木の春
2015年03月13日
男気
先週の木曜日の午後。
突如、中山さんと飲まないといけないと思いました。
なぜだか分からないけれど、
最近のあれこれを中山さんに話したり、
中山さんから聞いたりしなければいけないという思いが、
急に猛然と胃のあたりからこみ上げてきたのです。
それは、深夜、ひとりで飲んでいると、
アニメ版めぞん一刻のエンディングテーマだったピカソの
「シネマ」という曲を聞きたくて仕方なくなり、
延々とリピートしまうことがあるけど、
そのときの衝動と似ていたかもしれません。
ときどき、耳の裏にこびりついている垢を取ることに
夢中になり過ぎて血が出てかさぶたになって、
その後三日間くらい後悔することがあるけど、
そのときの衝動とも似ていたかもしれません。
そんな正体不明の衝動にかられたぼくは、その日の夜、
失礼ながらも中山さんを三軒茶屋まで呼びつけてしまいました。
久しぶりに会った中山さんはあいかわらずの喫煙家で、
口のなかで工場を経営しているかのように
ひっきりなしに煙をはきつづけていました。
吸っていないときは、
工場の奥には砂漠が広がっているかのように
ハイボールをがばがばあおっていました。
吸っていなくて、飲んでもいないときは、
鋭い言葉で世の中をスパスパ切って捨てていました。
口のなかの工場では、刀か包丁を製造しているに違いありません。
そんな中山さんを、
ぼくはカープの黒田博樹のピッチングを見ているときのような
気分で眺めていました。
つまり、男気を感じていたのです。
高額年俸を蹴ってヤンキースからカープに移籍した黒田の
男気と同じものを、僕は中山さんから感じ取っていたのです。
というか、吸収していたという方が近いかもしれません。
残念ながら男気を自家発電できない僕は、
こうやって何ヶ月に一度は中山さんと飲みながら、
男気をお裾分けしてもらわないといけないのです。
突然の中山さんと飲みたい衝動の正体は、
男気のチャージ不足のお知らせだったのかもしれません。
その日の夜は、よく飲みました。
いただいたばかりの新鮮な男気を利用して、
ハイボールをギガジョッキでいただきました。
巨大なジョッキを持つ左手の上腕二頭筋の
盛り上がりを感じながら、
ぼくらしくないなあと思っていました。(う)
突如、中山さんと飲まないといけないと思いました。
なぜだか分からないけれど、
最近のあれこれを中山さんに話したり、
中山さんから聞いたりしなければいけないという思いが、
急に猛然と胃のあたりからこみ上げてきたのです。
それは、深夜、ひとりで飲んでいると、
アニメ版めぞん一刻のエンディングテーマだったピカソの
「シネマ」という曲を聞きたくて仕方なくなり、
延々とリピートしまうことがあるけど、
そのときの衝動と似ていたかもしれません。
ときどき、耳の裏にこびりついている垢を取ることに
夢中になり過ぎて血が出てかさぶたになって、
その後三日間くらい後悔することがあるけど、
そのときの衝動とも似ていたかもしれません。
そんな正体不明の衝動にかられたぼくは、その日の夜、
失礼ながらも中山さんを三軒茶屋まで呼びつけてしまいました。
久しぶりに会った中山さんはあいかわらずの喫煙家で、
口のなかで工場を経営しているかのように
ひっきりなしに煙をはきつづけていました。
吸っていないときは、
工場の奥には砂漠が広がっているかのように
ハイボールをがばがばあおっていました。
吸っていなくて、飲んでもいないときは、
鋭い言葉で世の中をスパスパ切って捨てていました。
口のなかの工場では、刀か包丁を製造しているに違いありません。
そんな中山さんを、
ぼくはカープの黒田博樹のピッチングを見ているときのような
気分で眺めていました。
つまり、男気を感じていたのです。
高額年俸を蹴ってヤンキースからカープに移籍した黒田の
男気と同じものを、僕は中山さんから感じ取っていたのです。
というか、吸収していたという方が近いかもしれません。
残念ながら男気を自家発電できない僕は、
こうやって何ヶ月に一度は中山さんと飲みながら、
男気をお裾分けしてもらわないといけないのです。
突然の中山さんと飲みたい衝動の正体は、
男気のチャージ不足のお知らせだったのかもしれません。
その日の夜は、よく飲みました。
いただいたばかりの新鮮な男気を利用して、
ハイボールをギガジョッキでいただきました。
巨大なジョッキを持つ左手の上腕二頭筋の
盛り上がりを感じながら、
ぼくらしくないなあと思っていました。(う)