左のポケットからは
思いがけないものがでてきます
役に立たないけれど捨てられない
自分にだけたいせつなものです
「コピーライターの左ポケット」は
RADIO BERRY-76.4☆FM栃木の
日曜日22時からの番組「柴草玲のイヌラジ」の
小さなコーナーでした
コピーライターがストーリーを書き
柴草玲さんが音楽をつけながら朗読をしてくださり
5年の長きにわたって続けることができました
番組の最終回は2015年3月29日でした
お聴きくださった皆さま、このサイトを訪問してくださった皆さま
ありがとうございました
なお、原稿と音声のみをご覧になりたいかたは
裏ポケットへどうぞ ↓
http://02pk.seesaa.net/
▼
コピーライターの左ポケット
▲
2014年12月31日
そしてサザンが歌いはじめた。
なんで書き忘れていたんだろう。
先々週だったか、柴草玲さんと中山さんたちとで
ポケット社の忘年会を開いたのに、
なぜそのことを書き忘れていたんだろう。
ポケット社の忘年会だったのに、
ポケット社のブログ上で報告していなかったなんて。
柴草さんの存在感にはあいかわらず少し現実味がなくて、
中山さんの存在感にはあいかわらず他を圧倒するものがあったのに。
小松会長はインフルエンザで欠席されたけど、
細川社員は忙しい合間を縫って来てくれたのに。
元ランダムハウス、つまり、昔中山さんの部下だった
岡田くんもゲストで来てくれたのに。
なんで書き忘れていたんだろう。
場所は、銀座から少し離れたお世辞にもきれいとは言えない、
小汚いと言ってもまだ誉めているように思える
大汚い中華料理屋だった。
なぜそこにしたのかというと、柴草さんの偏ったキャラには、
キャラが偏った店のほうがいいだろうと思ったからだ。
朱色のテーブルは油でべとべとしてる。
呼び出しボタンを何度押しても誰も来ない。
ようやく来てくれた中国人のお姉さんは日本語がカタコト。
隣のグループとの間に距離がなさすぎて気をつかうし、
人口密度が高すぎるため奥の席に座った人は
トイレに立つときルート確保がむつかしい。
そういう困った面がたくさんあるけど、
でも、味はいいという店のキャラを、
柴草さんなら許容してくれたうえで喜んでくれそうな
気がしていたのだけど、当日、
先に着席しておられた柴草さんを見た瞬間、
それは誤解だったかもしれないと思った。
それは、柴草さんが緑色のベレー帽をかぶっていたからだ。
汚い中華料理屋にベレー帽をかぶってくる人はいない。
柴草さんは、素敵なイタリアンかフレンチのお店、あるいは、
トキワ荘に連れて行ってもらえると思っていたのかもしれない。
しまったなあ。
ぼくは席に着くなり、柴草さんの目の前にメニューを突き出し、
好きなのを注文してください!と言った。
この罪悪感を少しでも晴らそうと思ったからだ。
なのに、中山さんが「この店はねえ」と言いながら、
柴草さんの意見を待たずしてつぎつぎと注文していったので、
かえって罪悪感が増幅されることになってしまった。
そんな感じではじまった忘年会ではあったけど、
なんだか妙に楽しかった。
ぼくはみなさんからプレゼントをもらったりした。
(いちおう報告しておきますと、ぼくは11月に結婚しました)
中山さんは、オノヨーコになりきって、ジョンレノンとの思い出を語ったり、
ポールマッカートニーの悪口を言ったりしていた。
岡田くんがランダムハウスをやめてもう10年たつことにはえらく驚いた。
驚いた勢いで、来年2月分のポケット社の原稿を依頼した。
細川社員は出張で行っていたミャンマーの話をしたあと、
打ち合わせがあるとかで忙しく帰っていった。
みんなの話を聞きながら、ぼくはちらちらと柴草さんの様子をうかがっていたけど、
終始ごきげんさんに見えた。
結局最後までベレー帽が店の雰囲気になじむことはなかったけど、
ぼくの心配は杞憂に終わったようだ。
ぼくとしては、この場を、
かねてから小松会長に会いたがっていた柴草さんと
小松さんが初めて出会う場にしたかったんだけど、
それはまた次の機会にしよう。
というようなことを今、紅白を見ながら書いている。
今年の忘年会のことは、なんとしてでも今年のうちにアップしなければならない。
急げ急げ。全然まとまらなかったけどまあいいってことにしよう。
たった今、AKBが歌い終わって、福山雅治が歌いはじめたところだ。
なんて福山雅治はかっこいいんだろう。見入ってしまう。
見入っているうちに、次は中島みゆきだ
白いマイクを持って麦麦歌いはじめた。麦は泣き、麦は先き。麦だ麦だ。
来年もまたみんなで楽しくビールを飲める一年になりますように。
みなさま、よいお年を。あ、次は美輪明宏だ。愛の讃歌を歌うそうだ。
これが終わったらアップしよう。(う)
先々週だったか、柴草玲さんと中山さんたちとで
ポケット社の忘年会を開いたのに、
なぜそのことを書き忘れていたんだろう。
ポケット社の忘年会だったのに、
ポケット社のブログ上で報告していなかったなんて。
柴草さんの存在感にはあいかわらず少し現実味がなくて、
中山さんの存在感にはあいかわらず他を圧倒するものがあったのに。
小松会長はインフルエンザで欠席されたけど、
細川社員は忙しい合間を縫って来てくれたのに。
元ランダムハウス、つまり、昔中山さんの部下だった
岡田くんもゲストで来てくれたのに。
なんで書き忘れていたんだろう。
場所は、銀座から少し離れたお世辞にもきれいとは言えない、
小汚いと言ってもまだ誉めているように思える
大汚い中華料理屋だった。
なぜそこにしたのかというと、柴草さんの偏ったキャラには、
キャラが偏った店のほうがいいだろうと思ったからだ。
朱色のテーブルは油でべとべとしてる。
呼び出しボタンを何度押しても誰も来ない。
ようやく来てくれた中国人のお姉さんは日本語がカタコト。
隣のグループとの間に距離がなさすぎて気をつかうし、
人口密度が高すぎるため奥の席に座った人は
トイレに立つときルート確保がむつかしい。
そういう困った面がたくさんあるけど、
でも、味はいいという店のキャラを、
柴草さんなら許容してくれたうえで喜んでくれそうな
気がしていたのだけど、当日、
先に着席しておられた柴草さんを見た瞬間、
それは誤解だったかもしれないと思った。
それは、柴草さんが緑色のベレー帽をかぶっていたからだ。
汚い中華料理屋にベレー帽をかぶってくる人はいない。
柴草さんは、素敵なイタリアンかフレンチのお店、あるいは、
トキワ荘に連れて行ってもらえると思っていたのかもしれない。
しまったなあ。
ぼくは席に着くなり、柴草さんの目の前にメニューを突き出し、
好きなのを注文してください!と言った。
この罪悪感を少しでも晴らそうと思ったからだ。
なのに、中山さんが「この店はねえ」と言いながら、
柴草さんの意見を待たずしてつぎつぎと注文していったので、
かえって罪悪感が増幅されることになってしまった。
そんな感じではじまった忘年会ではあったけど、
なんだか妙に楽しかった。
ぼくはみなさんからプレゼントをもらったりした。
(いちおう報告しておきますと、ぼくは11月に結婚しました)
中山さんは、オノヨーコになりきって、ジョンレノンとの思い出を語ったり、
ポールマッカートニーの悪口を言ったりしていた。
岡田くんがランダムハウスをやめてもう10年たつことにはえらく驚いた。
驚いた勢いで、来年2月分のポケット社の原稿を依頼した。
細川社員は出張で行っていたミャンマーの話をしたあと、
打ち合わせがあるとかで忙しく帰っていった。
みんなの話を聞きながら、ぼくはちらちらと柴草さんの様子をうかがっていたけど、
終始ごきげんさんに見えた。
結局最後までベレー帽が店の雰囲気になじむことはなかったけど、
ぼくの心配は杞憂に終わったようだ。
ぼくとしては、この場を、
かねてから小松会長に会いたがっていた柴草さんと
小松さんが初めて出会う場にしたかったんだけど、
それはまた次の機会にしよう。
というようなことを今、紅白を見ながら書いている。
今年の忘年会のことは、なんとしてでも今年のうちにアップしなければならない。
急げ急げ。全然まとまらなかったけどまあいいってことにしよう。
たった今、AKBが歌い終わって、福山雅治が歌いはじめたところだ。
なんて福山雅治はかっこいいんだろう。見入ってしまう。
見入っているうちに、次は中島みゆきだ
白いマイクを持って麦麦歌いはじめた。麦は泣き、麦は先き。麦だ麦だ。
来年もまたみんなで楽しくビールを飲める一年になりますように。
みなさま、よいお年を。あ、次は美輪明宏だ。愛の讃歌を歌うそうだ。
これが終わったらアップしよう。(う)
2014年12月28日
上田浩和 2014年12月28日放送

りゅうくんの正月
上田浩和
りゅうくんのお父さんは、地元の有力企業の社長をしていた。
りゅうくんはそのことにはあまり触れて欲しくないようで、
お父さんの話になると、いつも顔をうつむき加減にして、
「父親はすごいけど、息子の自分はそうでもないから」
と言いたげな表情になった。
りゅうくんにはお兄さんが一人いた。
お兄さんの話になると、りゅうくんは多少しゃべってくれた。
顔がうつむき加減なのは同じだけど、
ときどきは僕と目を合わせながら、
「おれの兄貴てた、部屋にこもって出てこんつた。
オタクつたねえ。ずーっとパソコンいじりよるもん」
というようなことをぽつりぽつりと教えてくれたりした。
授業中、僕はときどきりゅうくんの家を想像した。
閑静な住宅街のなかでひときわ目立つ大きな家。
社長が住んでますって感じ。幸せって感じ。
でも、2階の奥の一室ではぼさぼさ頭の兄が、
背中を丸めてパソコンの前にうずくまっている。
一階のリビングに目をうつすと、
厳格な両親と向かい合ったりゅうくんが食事をとっている。
会話は無い。テレビも消されている。
食器が立てる音がやけに響く。幸せって感じとは、少し違う。
僕は窓の外を眺めながら、
そんなりゅう家の風景をぼんやりと思い浮かべたりした。
そして、りゅうくんがいつもくだらない話ばかりするのは、
そんな家庭環境を少しでも忘れるためじゃないかと思ったりもした。
りゅうくんの笑顔を見るたびに、
その奥に隠された影を勝手に感じ取って切なくなったりもした。
高校1年の12月。
期末試験が終わり、そろそろ冬休みという頃、
僕はりゅうくんのことが心配になった。
家族でうまくお正月をやっていけるのだろうか。
お兄さんは部屋から出て来てくれるのだろうか。
僕の想像上の家ではあるけれど、
あんなに広い家ですごすりゅう家のお正月は、
とても寒々しいものになるような気がして仕方なかった。
明けた翌年の元旦、りゅうくんから年賀状が届いた。
そこには気味の悪い緑色の物体が貼られていた。
そのすぐ横には「お正月特別付録で俺の鼻くそ付けとくけんね」という
りゅうくんの手書きの文字があった。
僕の心配は、正月の真っ青な空に消えていった。
出演者情報:柴草玲 http://shibakusa.kokage.cc/
タグ:上田浩和
2014年12月21日
細川美和子 2014年12月21日放送

ほらをふくということ
細川美和子
「なんでほら貝なんですか?」
と、わたしはその山伏の人に
ふと聞いてみた。
山奥で、意気揚々とふきならすほら貝。
山伏装束にほら貝、
それはもう、そういうものだと思って
神妙な顔でその音に耳を
すませていたけれど、、、
どうして山を神聖視している人の道具が、
海のものなんだんだろう?
でもその答えはすごく納得のいくものだった。
それはだね、
とその山伏の人はうれしそうにこたえた。
海の恵みも、山があるから、うまれるんだ。
川となって流れて出て、
山のいのちが、海を豊かにするんだ。
山はお母さんなんだ。
むかしから、山に入って出てくるっていうのは、
うまれかわるっていう意味があるんだよ。
山はお母さんのカラダ、
山は母胎として、ずっとずっとむかしから
畏怖され、たいせつにされてきたんだよ。
だから、ほら貝をふくのはきっと、
おかあさんに、ふるさとに、ありがとうっって
合図してるってことなんだな。
そんな大きな循環に昔の人は気づいて、
こんな道具までしたてて、大事にしてたんだな、
と思うとちょっと感動してしまった。
そして、ニンゲンってほんとうに
むかしからマザコンなんだなあ、、、
とわたしはしみじみ思った。
出演者情報:柴草玲 http://shibakusa.kokage.cc/
タグ:細川美和子
2014年12月15日
2014年12月14日
細田佳宏 2014年12月14日放送

ごめん
細田佳宏
ごめん。
夜中に電話でこんなこと言うのもなんだけど。ほんとごめん。
別にてっちゃんのこと嫌いになったわけじゃない。
うん。違う、他に好きな人できたわけじゃない。
うん。違う。貯金は関係ない。
そりゃせめてアルバイトぐらいして欲しかったけどそこじゃない。
うん。違う。バンド活動も関係ない。
というか違うもなにもてっちゃんそもそもバンド組んでないしね。
言わない。カラオケで人のお金で人の歌を歌うのはバンド活動とは言わない。
ヤフー知恵袋で聞いても言わない。
うん、違う。私のクリア寸前のドラクエのデータを勝手に消したのも違う。
違う、というか今初めて知ったしね。ずっとセーブミスかと思ってた。
え?なんでそういうことするの?私、三日ほど会社休んだよね。あの時。
自分を責めたよね。途方にくれたよね。大澤誉志幸ばりに。
言わない。だからそういうのはサプライズって言わない。
言わないよ。だから教えてgooで聞いても言わないよ。
そりゃビックリはしたよ。
相棒の最終回の録画見る前に消去された時以来のビッグサプライズだよ。
残り120時間ぐらいまだハードディスクあったよね。なんで消すの。
ごめん。怒ることじゃないよね、たかが相棒で。ごめん。
うん。違う。デート中に霊柩車を見たら親指を隠すからでもない。
違う。誕生日プレゼントが甘納豆だったからでもない。
違う。前世がビフィズス菌だったからでもない。
というかこれクイズじゃないし。別れ話だし。
しらみつぶしに当てようとしないで。流れで私から言いにくそうに言うから。
しない。三択にはしない。だからクイズじゃないし。
オーディエンスもテレホンもない。今、テレホンはしてるけど。
思ってない。うまいこと言ったとか思ってないし。
そんなにうまくないし。
ないよ。賞金とか。むしろなんであると思うの?おかしくない?
怒ってない。怒ってないけどおかしくない?
出演者情報:柴草玲 http://shibakusa.kokage.cc/
タグ:細田佳宏