左のポケットからは
思いがけないものがでてきます
役に立たないけれど捨てられない
自分にだけたいせつなものです
「コピーライターの左ポケット」は
RADIO BERRY-76.4☆FM栃木の
日曜日22時からの番組「柴草玲のイヌラジ」の
小さなコーナーでした
コピーライターがストーリーを書き
柴草玲さんが音楽をつけながら朗読をしてくださり
5年の長きにわたって続けることができました
番組の最終回は2015年3月29日でした
お聴きくださった皆さま、このサイトを訪問してくださった皆さま
ありがとうございました
なお、原稿と音声のみをご覧になりたいかたは
裏ポケットへどうぞ ↓
http://02pk.seesaa.net/
▼
コピーライターの左ポケット
▲
2014年06月30日
笹沼さんとRadioBerryの愉快な仲間たち

笹沼諒子さん、2014年6月28日の結婚披露宴に
私たちを招いてくださった笹沼諒子さんは
もうとっくに白鳥諒子さんなのですが、
どうも私たちにはピンと来ないので、
相変わらず笹沼さんとお呼びしているわけなのです。
FM栃木-RadioBerryの元役員はスピーチで
「白鳥諒子という名前でメールもらって
そんな女優みたいな社員が弊社にいたかとあせった」というようなことを
おっしゃっていましたが、確かにそうですね。
やっぱ「笹沼」で行きましょう、我々は。
私としては「白鳥」と言われると
白鳥伝説とか、物部氏とかヤマトタケルとか、古代史が浮かびますし
なんだかものものしい雰囲気になりますね。
さて、その笹沼諒子さんの結婚披露宴には
RadioBerryの役員、先輩、同僚が大挙していらしていました。
笹沼さんはもう社員ではないので全員に「元」がつきますが。
とりあえず、その一部が下の写真のかたがたです。

すでに二階で飲んでいる人々もいましたが、
こんなにみんな来ちゃって放送は大丈夫だったのでしょうか。
真ん中で花輪をつけているのが笹沼さん本体ですね。
そして、下の写真のような感じでウイスキーなど飲んでます。
ここにも花輪の笹沼さんがいますね。
お気遣いありがとうございます。
こちら、あんまりかまわなくていいですから
同級生や飲み仲間やご主人の同僚やお友だちのところへ行ってくださいね...
という心配が無用なくらい、笹沼さんはそのあたりはちゃんとしています。

ビンゴがはじまり、ほどよきところで我々は引き揚げようか、
ということいなると、
またどこからともなくあらわれた笹沼さんがお見送り ↓

そして、娘を嫁に出した気分で
トボトボと夜の八戸を歩くRadioBerryの白髪の元役員おふたり...
というのはウソです ↓

このおふたりはスーパーマイペース。
男子社員や女子社員に「おじいちゃんず」と呼ばれています。
私もさっそくそう呼ばせていただきました。
おふたりともキレイな白髪で
元社長と元東京支社長、どっちがどっちか区別つきません。
区別つかなくてもおふたりは気になさいません。
いい会社ですね、RadioBerryは。
そして、おじいちゃんずは揃って酒飲みです。
昨夜飲んでうまかった飲み屋を思い出すために
我々を引き連れて歩いておいでです。
はじめはまったくわからなかったそうですが、
昨夜食べた鯖の塩焼きと蛸の白子の引力に引っ張られ
恐ろしいことにちゃんと思い出してくださいました。
蛸の白子は売り切れていましたが、
鯖の塩焼きはうまかったです。
おかげさまで、なんか八戸っていいなあ。
うん、いいかも...と、思うようになりました。
こんどはポケット社長と行ってみようかと思うのでしたが、
おじいちゃんずがいないと寂しいです(さ)
関連記事はこちら:http://01pk.seesaa.net/article/400495963.html
タグ:RadioBerry 笹沼諒子
2014年06月29日
上田浩和 2014年6月29日放送

リストバンド
上田浩和
なんとか座れた電車のなかで、腕時計を見ようとしたら、
左の手首に黒い物体が巻き付いていて驚いた。
幅はおよそ7、8センチの黒のタオル地。
オレンジの糸でH、A、R、A、つまり原という名前と
その下に数字の88が刺繍してあるそれは、
リストバンドでプロ野球の応援グッズのひとつだ。
某球団の監督が現役の頃からのファンであるぼくは、
今日、試合開始前にそれを野球場の売店で買って、
左手首にはめて野球観戦をして、今はその帰りだった。
試合のほうは先発投手の助っ人外国人が打ち込まれたため
序盤の3回ですでに結果が見えたようなつまらない内容だったけど、
このかっこいいリストバンドを買えたから今日はよかったと
3分くらい前に左手首を見ながら思ったばっかりだったのに、
3分後には同じリストバンドを見て驚いたぼくは馬鹿なのだろうか。
でも、まあ、見てしまったわけだから、
それがたとえリストバンドだったとしても、
そこになんらかの時間を読み取らなくては、
せっかく見たぼくの両目もかわいそうだし左腕も見られ損だと思い、
そういえばと思い出したことがある。
授業参観のとき。子供の頃のことだ。
必死に右手を挙げてアピールしたのに一度も当ててもらえなくて、
ぼくの右手は来ていた母親に見られ損になったことがあった。
当時のぼくは、手を挙げて当てられるたびに「分かりません」
と言うのが好きだったので、
先生としても晴れの舞台でそんなことをやられてたまるかと思ったのかもしれない。
今回は、左手にそんな見られ損などという憂き目にあわせないよう
リストバンドから無理矢理現在時刻を読み取った結果、
現在、HARA時88分。
なんだよHARA時って。88分っていったい何分だよ。
ぼくは自分がとてもおもしろいことを言った気がして、
言うきっかけを与えてくれたこのリストバンドのことを
さらに気に入った。
ロレックスが、HARA時を指すだろうか。
オメガが、88分を刻むだろうか。
このリストバンドが、時間は金じゃないと教えてくれているような気がするのは
ぼくだけだろうか。
家につき、ズボンとTシャツを脱いで、
靴下とパンツとリストバンドだけになって鏡の前に立つと、
いろんなポーズを試してみた。
ネクストバッターズサークルで膝をつき出番を待つポーズ。
一塁でリードして牽制球で慌ててベースに戻るポーズ。
三塁ベース上で、タッチアップのタイミングを計るポーズ。
うんこ座りしてミットを構えるキャッチャーのポーズ。
そのどれもがリストバンドのおかげで様になっていたが、
ふと窓の外に視線をやると、ベランダに干していたタオルが
カーテンの隙き間からこちらをじっと見ていて
少し恥ずかしくなった。
出演者情報:柴草玲 http://shibakusa.kokage.cc/
タグ:上田浩和
2014年06月28日
Radio Berryの笹沼さん結婚しました

本日2014年6月28日はRadio Berry の笹沼諒子さんの結婚披露宴でした。
笹沼さんといえば、「コピーライターの左ポケット」のコーナーを
つくってくださった恩人です。
できれば一生Radio Berryにいてもらいたかったですが、
ある日突然、「結婚します」「えええ〜〜」ということになりました。
結婚はね、1年くらい前からしてるんですよ。
しかも八戸に嫁に行ったんですよ、青森ですよ。
披露がまだだというので、それが今日だったわけです。
その前に宇都宮へ戻ってきてくれないか、とか
いろいろ願う人たちはいたわけで、私もそのひとりでしたが
別れる様子もなく、逃げ帰ることもなく
たいへん幸せそうに本日を迎えてしまいました。
ええまあその、ご主人も良さそうな人でお似合いといえばお似合いです。
とはいえ青森は遠いし、宇都宮にいた頃のようには会えないし
寂しいじゃないですか、我々としても。
まあ、そんなこんなで愚痴っぽく参列した披露宴ですが
なんか、あたたかい感じのいい披露宴でしたよ。
写真を何枚かポケット社長に送ったんで何か書いてくれればいいんですが。
私はこれから二次会に行かなきゃいけないんですよ。
とにかく行ってきますね(なかやま)

タグ:笹沼諒子
2014年06月22日
細川美和子 2014年6月22日放送

お花見
細川美和子
お花見するのに、
いちばん好きな場所は新幹線だ。
街を出てしばらくすると、
やわらかい緑の春の山に
白い山桜やピンクのソメイヨシノのが
ぽこぽことパッチワークされた風景が始まる。
そんな名前も知らない
田舎の小さな山をみながら、
昼から缶ビールを飲み、
カツサンドをほおばるのは最高だ。
特に好きなのが米原のあたり。
ほのぼのを絵に描いたみたいな田んぼが広がり、
山の入り口の神社には、
ひときわ大きな桜が咲いている。
それに、あぜ道にとうとつに
あらわれる立派な桜並木もいい。
これから田植えが始まって、
夏祭りには友達と待ち合わせて、
でも好きなあの子とは一言も話せずに
終わったりするんだろうな。
秋がきて、稲刈りの時期には
遊びたいのをがまんして
また手伝ったりするんだろうな。
なんだかとてもなつかしい。
いつか、ここに住んでみたい。
いや、いつかここに、
住んでいたのかもしれない。
、、、と、そんなことを
新幹線にのっている人は
考えているんだろうか。
1時間に何回か通り過ぎる
白と青の流線をながめながら
わたしは思った。
腰をあげて、桜の木の下をあとにする。
自転車をたちこぎしながら、
わたしは家に帰る。
とくに急ぐ必要もないのだけど。
出演者情報:柴草玲 http://shibakusa.kokage.cc/
タグ:細川美和子
2014年06月15日
小松洋支 2014年6月15日放送

明けがたの夢
小松洋支
心理学のゼミに出ている。
なぜか教室ではなく、地下鉄の駅だ。
ハツカネズミの学習能力を調べる実験について、教授が説明している。
線路の脇に立ち、背伸びをして、ホームの端(はじ)を机代わりに
ノートをとろうとしている。
電車が来たら危ないなと思う。
しかもボールペンのインクが出ない。
ぐるぐる螺旋を書き続けても、紙をひっかくばかり。
と、不意に黒い液体が飛んできて、ノートの上にボタリと落ちる。
これをペン先につければ書けるかもしれない。
見ると教授の足もとにタコがいる。
きっと、あれがスミを吐いたのだ。
という夢から覚めた。
確かに木曜は心理学のゼミがある。
教室に着いて、ノートを開く。
パリパリと音がする。
ページの両側に黒い丸。
スミでページがくっついていた跡だ。
むこうからピンクの色鉛筆が転がってくる。
長さ7メートル、直径が50センチくらいある。
猛烈なスピードだ。
これを飛び越す。
続けて黄色の色鉛筆が転がってくる。
飛び越す。
次は空色。
その次は紫。
そのまた次は肌色。
前方を見ると、何十色もの色鉛筆が、丘の上から転がってくる。
それを、何十人もの人間が、ハードルのように飛び越している。
ははあ、これは夢だな。
明けがた近くなると、いつもはっきりした夢を見るのだ。
そんなことを考えていたので、
目の前に迫っていたこげ茶の色鉛筆に気づかず、
はね飛ばされて、どこかの縁の下に転げこむ。
板の隙間から、縁側を歩く人の足の裏が見える。
という夢から覚めた。
金曜は必修の外国語がある。
着替えようとしてパジャマを脱ぐと、
右の脛が内出血している。
色鉛筆にぶつけたのと同じところだ。
ゾンビたちに行く手を塞がれている。
後ろは断崖絶壁だ。
ケータイで助けを呼ぼうとするのだが、
テンキーが顔文字になっていて発信できない。
なにか武器になるものはないか。
足元の棒きれを拾うと、うまい棒になっている。
石を拾うと、ガチャガチャのカプセルになっている。
ははあ、これは夢だな。
だが待てよ。
このまま目が覚めると、まずいことになるかもしれない。
平和な夢で上書きしないと、危ないかもしれない。
そう考えている間にも、ゾンビたちは斧を振り上げ、
じりっじりっとこちらに近づいてくる。
背後で、波が岩に砕け散る音がする。
出演者情報:柴草玲 http://shibakusa.kokage.cc/
タグ:小松洋支
2014年06月09日
はじめての歌舞伎。
歌舞伎っておもしろいんですね。
歌舞伎といえば、これまで歌舞伎揚だったので、
おいしい以外の感想を持つなんて思ってもみませんでした。
先日、人生ではじめて歌舞伎座に行ってきました。
前を通ることはたまにあったのですが、中に入ると、へえこうなってるんだ。
ふうん。あ、もぎりのお姉さんもどことなく古風というか顔つきが伝統的というか。
NHKの女子アナみたいでタイプだな。解説用のイヤホンをレンタルしておこう。
700円もすんの? それとは別に、あとで返してくれるみたいだけど保証代として
1000円だって。あ、ビール売ってるんだ。意外だな。どうしよう。飲もうかな。
でも寝ちゃうからやめておこう。
席はどこだっけ。もっと向こうだな。あれ。ここは花道だから通り抜けできない?
これが花道なんだ。へえ。ぼくが通ってきた道とは全然違うなあ。
と席に着くまでも楽しくて、着いたら着いたで。
広いなあ。天井が高い! あの両側の席の人たちなんなの? あれが桟敷席か。
あの席いやだな。恥ずかしくないのかな。見に来たのに見られてる気がしないのかな。
自意識過剰な僕には無理だな。あ、歌舞伎座もなかアイス食べてる人がいる!
食べたい。いや、でも、今食べなくてもいいかも。休憩時間が何度かあるらしいから、
そのときに取っておこう。あの舞台に降りてる幕、なんて言うんだっけ。緞帳?
あの柄というかあの配色がいかにも歌舞伎っぽい。というか歌舞伎揚の袋っぽい。
写真撮っていいんだっけ? 撮ってる外人がいるから平気か。いや。外人だから、
係の人が注意できないだけかも。だって日本人って外人のこと苦手じゃない。
あ、日本人も撮ってるから大丈夫みたい。というわけでカシャ。こちらもカシャ。
その写真を妹に「歌舞伎座に来とるばい」というメッセージとともに送る。
そのうちにあと10分で開演ですというアナウンスが。
チラシの裏面にある演目の解説に目を通す。予備知識を頭にいれておかないと、
ついて行けないに決まっている。
そして始まったはじめての歌舞伎。
でかい矢を持った人が舞台の真ん中に立っている。
よく分からないけど十八番のうちのひとつらしい。
レンタルしておいた解説用のイヤホンの手助けもあって、内容はある程度分かる。
意外とギャグっぽいセリフもあって笑い声もあがる。
あ、出た。◯◯屋!という観客席からの掛け声。これ聞いてみたかったんだよな。
ほんとに言うんだ。へえ。なんと言ったのはかは、聞き取れなかったけど、
どことなく事務的な言い方だった。恥ずかしくないのかな。
タイミング外したらたいへんだな。自意識過剰な僕には無理だな。
その後も、海老蔵が出てきたりして、ああ、かっこいい、
そりゃあモテるでしょ、と思ったり。ただ、あれが本当に海老蔵だったのかは、
化粧のせいで分からない。あの化粧を取ると、あの顔があそこにあるんだよなあと
想像するしかない。でも、声は確かに海老蔵、聞いたことがある。
海老蔵のあとにも、名前を聞いたことがある人が舞台にあがって、この人誰だっけ?
菊之助? それって前田敦子と噂がある人? 違う。その人じゃない。
その前田敦子じゃない人が獅子の頭をつけて長い髪をぐるんぐるん回していた。
すごいね。きれいだね。先端まできれいに回すにはすごい技術が必要らしい。
帰りの地下鉄のなかで、さっそく海老蔵のブログをチェックしてみたら、
すでに家に帰っていた。長兵衛から海老蔵に戻りました、みたいなことを書いていた。
さっき舞台の上で海老蔵が演じていたのは確かに長兵衛だったから、
あれは海老蔵だったようだ。それにしても、帰るの早いな。
こんな感じで、不勉強のまま突然行っても歌舞伎は十分楽しめました。
3時間くらい。映画は2時間以内でお願いしたいぼくは、
見る前は長いなと思っていたけど、休憩時間もあって、
その間に場内を散策したりお土産を買ったりできたのでちょうどいい長さでした。
歌舞伎は煎餅だと思ってる人にはぜひ見てもらいと思います。
ただ、チケットがちと高いのよね。(う)
歌舞伎といえば、これまで歌舞伎揚だったので、
おいしい以外の感想を持つなんて思ってもみませんでした。
先日、人生ではじめて歌舞伎座に行ってきました。
前を通ることはたまにあったのですが、中に入ると、へえこうなってるんだ。
ふうん。あ、もぎりのお姉さんもどことなく古風というか顔つきが伝統的というか。
NHKの女子アナみたいでタイプだな。解説用のイヤホンをレンタルしておこう。
700円もすんの? それとは別に、あとで返してくれるみたいだけど保証代として
1000円だって。あ、ビール売ってるんだ。意外だな。どうしよう。飲もうかな。
でも寝ちゃうからやめておこう。
席はどこだっけ。もっと向こうだな。あれ。ここは花道だから通り抜けできない?
これが花道なんだ。へえ。ぼくが通ってきた道とは全然違うなあ。
と席に着くまでも楽しくて、着いたら着いたで。
広いなあ。天井が高い! あの両側の席の人たちなんなの? あれが桟敷席か。
あの席いやだな。恥ずかしくないのかな。見に来たのに見られてる気がしないのかな。
自意識過剰な僕には無理だな。あ、歌舞伎座もなかアイス食べてる人がいる!
食べたい。いや、でも、今食べなくてもいいかも。休憩時間が何度かあるらしいから、
そのときに取っておこう。あの舞台に降りてる幕、なんて言うんだっけ。緞帳?
あの柄というかあの配色がいかにも歌舞伎っぽい。というか歌舞伎揚の袋っぽい。
写真撮っていいんだっけ? 撮ってる外人がいるから平気か。いや。外人だから、
係の人が注意できないだけかも。だって日本人って外人のこと苦手じゃない。
あ、日本人も撮ってるから大丈夫みたい。というわけでカシャ。こちらもカシャ。
その写真を妹に「歌舞伎座に来とるばい」というメッセージとともに送る。
そのうちにあと10分で開演ですというアナウンスが。
チラシの裏面にある演目の解説に目を通す。予備知識を頭にいれておかないと、
ついて行けないに決まっている。
そして始まったはじめての歌舞伎。
でかい矢を持った人が舞台の真ん中に立っている。
よく分からないけど十八番のうちのひとつらしい。
レンタルしておいた解説用のイヤホンの手助けもあって、内容はある程度分かる。
意外とギャグっぽいセリフもあって笑い声もあがる。
あ、出た。◯◯屋!という観客席からの掛け声。これ聞いてみたかったんだよな。
ほんとに言うんだ。へえ。なんと言ったのはかは、聞き取れなかったけど、
どことなく事務的な言い方だった。恥ずかしくないのかな。
タイミング外したらたいへんだな。自意識過剰な僕には無理だな。
その後も、海老蔵が出てきたりして、ああ、かっこいい、
そりゃあモテるでしょ、と思ったり。ただ、あれが本当に海老蔵だったのかは、
化粧のせいで分からない。あの化粧を取ると、あの顔があそこにあるんだよなあと
想像するしかない。でも、声は確かに海老蔵、聞いたことがある。
海老蔵のあとにも、名前を聞いたことがある人が舞台にあがって、この人誰だっけ?
菊之助? それって前田敦子と噂がある人? 違う。その人じゃない。
その前田敦子じゃない人が獅子の頭をつけて長い髪をぐるんぐるん回していた。
すごいね。きれいだね。先端まできれいに回すにはすごい技術が必要らしい。
帰りの地下鉄のなかで、さっそく海老蔵のブログをチェックしてみたら、
すでに家に帰っていた。長兵衛から海老蔵に戻りました、みたいなことを書いていた。
さっき舞台の上で海老蔵が演じていたのは確かに長兵衛だったから、
あれは海老蔵だったようだ。それにしても、帰るの早いな。
こんな感じで、不勉強のまま突然行っても歌舞伎は十分楽しめました。
3時間くらい。映画は2時間以内でお願いしたいぼくは、
見る前は長いなと思っていたけど、休憩時間もあって、
その間に場内を散策したりお土産を買ったりできたのでちょうどいい長さでした。
歌舞伎は煎餅だと思ってる人にはぜひ見てもらいと思います。
ただ、チケットがちと高いのよね。(う)
2014年06月08日
三國菜恵 2014年6月8日放送

アルバイト
三國菜恵
わたしは少女Aです。
となりにいるのはおっさんBです。
おっさんBは写真家です。
おっさんBに雇われて
わたしはここ数日、代々木公園で撮影アシスタントのバイトをしています。
アシスタントの仕事はかんたんです。
おっさんBの隣を歩いて、
言われた位置に立ってストロボを持つだけです。
おっさんBは、公園に寝そべるカップルを撮影しています。
撮影、というより
採集、と言ったほうが近いかもしれません。
シートの上にちぢこまって座る2人を
フレームの中におさめていくカップル採集。
おっさんBはプロフェッショナルなので、
撮影可能なカップルをすぐに見抜きます。
「犬を連れている人はだいたい撮らせてくれる。後回しでよし」
「噴水の近くは外国人が多い。彼らもすぐ撮らせてくれる」
「制服のカップルは滞在時間が短い。すぐに声をかけないと」
そう言って高校生カップルに駆け寄るおっさんB。
昼下がり。時計は3時12分。
「そうそう、そのままそのまま」
シートに寝そべってチュッパチャプスをなめている2人を
おっさんBは撮影する。
映写機かと思うくらい、でかいカメラで撮影をする。
ぎょうぎょうしいカメラのほうが
偉い写真家だと思ってもらえるので都合がいいらしいのだ。
おっさんBはつぎつぎ採集を続ける。
パーカーを着た、ヒマそうな大学生カップル。
たぶん不倫中の、あみタイツの女とスーツの男。
きょうの最後の一組は、タンクトップの青年と黒いTシャツの女だった。
話せば、ふたりは女性どうしで、
タンクトップの青年のほうは、実は元女性だったという。
彼を指さし、彼女は言う。
「明日この人韓国に帰っちゃうの、撮って撮って」
写真のなかにおさまった二人は、
ただの美男美女のカップルだった。
公園のチャイムが鳴った。
バイト終了の合図です。
おっさんBはいつものようにバイト代5000円と缶ビールをくれます。
「それじゃあまた頼むね」
そう言って毎度のように去っていきました。
わたし、少女Aは
大人はビールしか飲まないものと
かんちがいして大人になりました。
出演者情報:柴草玲 http://shibakusa.kokage.cc/
タグ:三國菜恵
2014年06月01日
栃木の川辺に暮らす猫のおはなし

栃木にある川辺の森に、10年ほど前に猫を捨てた人がいました。
避妊手術をしていなかった猫は子供を生み、
さらに猫を捨てにくる人がいて、森の猫は増えていきました。
この森の猫たちを見守り、餌を運び、
捕獲できた猫は避妊・去勢手術をし
母猫が失踪した子猫は里親をさがすなどして
世話をしてきたのが、Twitter名が「junk man」という人物です。
junk man:https://twitter.com/junkman16687478

しばらく前から、森の猫が消える事件が起こるようになりました。
もどってきた猫は、片腕を切られたり
背中の皮をはがされていたり、細長い刃物で顔を貫通する傷を
負わされていたりしました。
森の猫を狙って虐待を繰り返す犯人がいるのです。
生き物を傷つけたい欲求のある人は
狙う生き物がエスカレートします。
猫の次はもしや人間の子供???
junk man さんのtwitterをご覧ください。
アップされた川辺の森の写真があります。
お近くにお住まいのかたなら、この場所だと
おわかりのかたもいらっしゃるかもしれません。
ここを通行なさるときは、猫たちのことを思い出してください。
そして、不審な人物に注意をお願いいたします。
下の写真はもっとも最近にひどい目に遭ったトラ子。
いまは junk man さんの家で里親募集中です。
動かなかった前足は治ってきて動くようになりました。
